2012年11月8日木曜日

Leitz SUMMICRON 5cmF2 (L) ~ Radioactive Lens


 ライツ ズミクロン5cm F2(#1042349)~1952年製、沈胴構造のライカLマウント標準レンズです。

  レンズ構成:6群7枚
  最小絞り:f16
  最短撮影距離:1m
  フィルター径:39mm

 ライカがバルナック型からM型に移行する時期に登場した『ズミクロン』の最初期型で、何と言ってもその描写力、特に解像度の高さが最大の特徴なのですが、もう一つ特徴があります。それは・・・


 この淡く黄色味を帯びた前玉です。これは放射性物質である”酸化トリウム”が配合されたガラスを使用している為、経年変化で黄色化してくるのだそうです。トリウムを配合することで高屈折率を得ることが出来、解像力や収差補正に効果があるらしいのです。確かに実写したところ解像感は素晴らしいなと実感出来ましたが、それが”トリウム無し”レンズと比較してどの程度なのかは今後機会が出来れば試すこととして、まずはこのズミクロンが発している放射線量がどの程度のものなのか測定してみることにしました。そこで比較するために持ってきたのは・・・


 以前に紹介した同じライカレンズであるズミタール1949年製(写真右)と比較してみることにしました。近い年代で同じライカの沈胴50mmレンズということでズミタールと比較してみようという事です。使用した放射線測定器の精度は不明なので、本当に計測されるのか半信半疑だったのですが『ズミクロン』のレンズ前玉に測定器を近づけたところ・・・


出ました!計測は1秒毎の測定値が更新されるモードにて行ったのですが、線量値は2~5μSv/hの範囲で測定されています。アラームのしきい値を1μSv/hにセットしていたため、ブザーが”ピーピー”バイブが”ジージー”鳴り出す始末です。やはりこのズミクロンはトリウムレンズだったのだと変な感心をしながら、ズミタールの方を計測してみると・・・


 出ていません!ほぼ周辺環境と同程度の0.01~0.2μSv/hという測定値が表示されています。測定値はあくまで参考程度ということになりそうですが、はっきりとこの104万台ズミクロンは放射能レンズ/アトムレンズだと判明しました。


 レンズの写りや性能だけでなく当時の製造過程や配合材料などもエピソードとして捉えることが出来るのがオールドレンズの楽しみ方の一つだなと実感した【Leitz Summicron 5cmF2(L)】でした。

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