2013年2月22日金曜日

Tomioka / AUTO CHINON 55mmF1.4 (M42)


 富岡光学が各社ブランド向けに生産していたレンズの一つ【AUTO CHINON 55mmF1.4(M42)】です。何と言ってもこのレンズの大きな特徴はピントリングが貼り革で巻かれている点です。これまで紹介してきたオールドレンズのほとんどが金属削り出しローレット加工というものでしたので、見た目にもかなり異彩を放っている一品です。更にこの貼り革の前後には鏡面仕上げの細い縁取りが入れられておりちょっとしたアクセントになっています。以前に紹介した【FUJINON.SW 28mmF3.5(M42)】のリングエッジ部にも鏡面仕上げが採用されているのを見ると、レンズの一部に『光り物』を入れるのが当時のデザイントレンドだったのかもしれません。
 見た目には好き嫌いの分かれそうなピントリングですが、実際に触ってみると感触はとても良好です。これは貼り革の触り心地云々と言うよりも、ヘリコイドのしっとりとしたトルク感やガタの無い造りが感触の良さを生んでいるからだと思われます。絞りリングも同様でガタや遊びが無く適度なクリック感ですので、操作という面からすると使い易く軽快に撮影が可能なレンズと言えそうです。


 絞り開放で椿を写したサンプル写真ですが、等倍で見ると花びらに落ちた花粉の粒までしっかり確認出来るのでまずまずの解像感だと思います。大口径レンズですのでボケ具合がどうかも気になるポイントですが、花びらや葉のエッジ部分に見られるように合等部から外れていく箇所の滲み具合所謂二線ぼけが顕著です。二段ほど絞り込むとかなりシャープになりますが、絞り形状が六角形ですので背景の点光源などはしっかりと六角形状になってしまいます。


 F1.4の明るさは光量の不足がちなシーンでは有効です。こういった単純ですっきりとした被写体の場合は背景のうるささも感じることなく、絞り開放の味わいを十分堪能出来るのではと思います。

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